小説の基本構造
- 作者: マルセルビッチ,ジャンボンフィス,池内友次郎,余田安広
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1986/03/05
- メディア: 単行本
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- 作者: 池内友次郎
- 出版社/メーカー: 音楽之友社
- 発売日: 1965/07/31
- メディア: 単行本
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『愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ』では、繋がった物語の部分と告白宿の客たちや街の住人たちの告白が、交互に出てきます。
これは、何も知らないと、ふーん、と読み流してしまう場所なのですが、タイトルにある”フーガ”。これは、ただ、適当につけたわけじゃないんですね。この小説は、音楽上の「フーガ」形式によって作られています、ということなのです。
この「フーガ」形式というのが、ものすごく難しい音楽形式なのですが、琴音さんは、バッハが、楽器でフーガ音楽を作ったように、小説でフーガを書いています。
厳密な規則は、ここでは書ききれないのですが、フーガは、多声音楽であり、また、模倣形式を基本とします。物語の部分と告白の部分が、交互に出てくるのは、フーガ形式では、主題提示部と嬉遊部という自由演奏の部分が繰り返されるからです。
他にも、多声、模倣の規則が、小説の中に、きちんと入っています。
フーガ形式がわかればわかるほど、面白く読めるのが、『愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ』なのです。
琴音さんは、ブログ「愛をめぐる奇妙な告白のためのブログ」で、この小説は、読み終わった後、ドラクエのように遊べるとおっしゃっていますが、まず、仕掛けの鍵のひとつは、ここにあるのじゃないかなぁと思います。
そんなに難しい本なのぉ?と思われた方、安心してください。
私も、最初は、全然、フーガ形式なんてわからずに読んで、素直に感動しました。
泣きました。
ただ、フーガ形式がわかると、より楽しい読書ができると思うのです。
わざわざ、難しい本を買うのはなぁと思われる方は、「Wikipedia」が、とても役に立つと思います。Wikipediaで満足できないほど、はまっちゃった人が、私のように、本を買えばいいのではないでしょうか?