ロレンスの悲しみ
『愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ』の中で、T.E.ロレンスに触れられるのは、たった一行だけだ。でも、その一行が印象深い。「T.E.ロレンスの瞳に宿る悲しみの風景を…」から始まる一行。アラブは、ロレンスにとって、生涯を賭けた土地であり、生涯、その思い出に縛り付けられる運命的な土地になった。国家と国家との間では、人の良心など、無に等しい。ロレンスは、偉大な英雄であり、かつ、同時代の人間にとって、謎の人物でもあった。ロレンスは、多数の著作を残しているが、このコミックに書かれるロレンスの悲しみは、実にわかりやすい。英雄とされながら歴史の前に屈服した人間のために、素直に涙を流せる。
- 作者: T・E・ロレンス,柏倉俊三
- 出版社/メーカー: 平凡社
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- 作者: T・E・ロレンス,柏倉俊三
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