ロレンスの悲しみ

『愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ』の中で、T.E.ロレンスに触れられるのは、たった一行だけだ。でも、その一行が印象深い。「T.E.ロレンスの瞳に宿る悲しみの風景を…」から始まる一行。アラブは、ロレンスにとって、生涯を賭けた土地であり、生涯、その思い出に縛り付けられる運命的な土地になった。国家と国家との間では、人の良心など、無に等しい。ロレンスは、偉大な英雄であり、かつ、同時代の人間にとって、謎の人物でもあった。ロレンスは、多数の著作を残しているが、このコミックに書かれるロレンスの悲しみは、実にわかりやすい。英雄とされながら歴史の前に屈服した人間のために、素直に涙を流せる。

知恵の七柱 (1) (東洋文庫 (152))

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知恵の七柱 (2) (東洋文庫 (181))

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知恵の七柱 (3) (東洋文庫 (200))

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図説 地図とあらすじで読む聖地エルサレム

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