読むべき本

アゴタ・クリストフ悪童日記三部作のうち、『愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ』のintermissionタイトルになっているのは、第三部の『第三の嘘』だ。でも、著作自体には、三作とも触れてある。作中の「私」は、悪童日記のテーマを”善悪の概念の破壊”と呼ぶ。たしかに、読み進めるうちに、私は、少年二人の悪事を応援するようになった。彼らの行為が、どんどんエスカレートし、殺人にまでいたっても。それが、正義に思えた。善とか悪とか、見る方向によって、変わるものなのかもしれない。フーガの中でも、悪と善の区別はない。そんな概念は、もう破壊されてしまったのかもしれない。