初めて知った悲劇

クメール・ルージュのことは、初めて知った。ポル・ポトという人も初めて聞いた。世界史でも、現代に近くなると、先生は教えない。各自、教科書を読んでおいてください、というだけだ。誰も言うことなど、聞かない。カンボジアで、こんな大虐殺があったなんて信じられない。みんな、狂っている。生々しくて、ものすごく怖かった。ヒットラーアウシュビッツは有名だけど、クメール・ルージュって、知っている人が少ないんじゃないだろうか。知ることができたのも、『愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ』のおかげだ。ひとりでも多くの人に、人間が、なんと残酷になれるのか読んで欲しい。



イヌイット―「極北の狩猟民」のいま (中公新書)

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ダライ・ラマ自伝 (文春文庫)

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ビスマルク (Century Books―人と思想)

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第三の嘘

『愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ』では、第三部であるこの本のテーマは、”虚実の概念の破壊”だという。そして、無駄な伏線について触れる。フーガの中の最終intermission『第三の嘘』も、嘘か真実か、読んで行くうちにわからなくなる。謎解きのはずなのに、”第四の答え”が読みたくなる。『第三の嘘』でかかれる真実は、悲しすぎる。絶対に、4作目があって欲しいと思ったけれど、アゴタ・クリストフは、もう、このシリーズに全く、手をつけていない。書かれることはないのだろう。琴音さんのフーガは、書こうとすれば、フーガ・サーガにできると言っていた。終わらない話なのだと書いていた。

静かな本

『愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ』の中で、悪童日記三部作の第二部のテーマは、”自他の概念の破壊”と書いてあった。難しい。アイデンティティという言葉があるけれど、うまく日本語にできない。そういう難しいテーマはわからないけれど、静かな小説で、私は好きだった。双子が双子ではなくなっているのに、誰一人村人は気づかない。そんな状況から物語は始まる。切ない恋、切ない愛。第一部の強い双子は、もういない。だから、第二部が好きではないという人もいると聞く。でも、私は、この『ふたりの証拠』に溢れる悲しみが好きだ。本当に、夢のように美しい話だと思う。

読むべき本

アゴタ・クリストフ悪童日記三部作のうち、『愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ』のintermissionタイトルになっているのは、第三部の『第三の嘘』だ。でも、著作自体には、三作とも触れてある。作中の「私」は、悪童日記のテーマを”善悪の概念の破壊”と呼ぶ。たしかに、読み進めるうちに、私は、少年二人の悪事を応援するようになった。彼らの行為が、どんどんエスカレートし、殺人にまでいたっても。それが、正義に思えた。善とか悪とか、見る方向によって、変わるものなのかもしれない。フーガの中でも、悪と善の区別はない。そんな概念は、もう破壊されてしまったのかもしれない。

面白い!

ダウジングの利用方法についての解説書。Lロッドを使って、水脈を探したり、夢分析をしたり、今では、風水も取り入れているという。こういう超能力ものというのは、嘘だと思っても、楽しく遊べる。それに、なんと、Lロッドが本についていて、自分でもダウジングができるのだ。アメリダウジング協会推薦という由緒正しいロッドで…だから、当たるのかといえばわからないのだけれど。『影の獄にて』の第二部で、奇形の弟がダウジングで水脈を当てる場面があった。
『愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ』という話は、伏線といえないほど細い伏線が張り巡らされている。だから、はまる人ははまるのかもしれない。



図説 王家の谷百科―ファラオたちの栄華と墓と財宝

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オーストラリア癒しの大陸をゆく―パース~アルバニー~エアーズロック

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ナイアガラの滝 [ポスター]

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読むまで知らなかった

マリファナより、タバコやアルコールのほうが害になるってことを、日本人は知っているのだろうか? マリファナ大麻を持っていたり、使ったりすると、当然、逮捕される。悪いものを使っている人達は罰せられることなく、何の害もないものを使っている人が罪になる。マリファナは、ずっと古くから、人間の生活を助けてきた。そのマリファナが、違法とされたのは、ただ、アメリカの真似をしただけだという。日本という国は、真似事が好きな国だ。ヨーロッパでは、マリファナを使っても罪にならないところもあるという。健康に害のあることが証明されているタバコなどを禁じて、マリファナを許すべきではないだろうか。



カリガリ博士 [DVD]

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ジャンヌ・ダルクとは

ジャンヌ・ダルク百年戦争の時代、フランスの英雄としてイギリスと戦い、魔女として火刑になったことは、授業で習った。この本も、ジャンヌの、そんな一生を追うものかと、教科書を開くような気分で読み始めたが、予想に反して面白かった。生きているときのジャンヌではなく、ジャンヌの死後、ジャンヌについて、どんな伝説や議論があったのかを中心に書いている。天使の声で戦い始めるジャンヌは、病気だったのか、誰かに操られていたのか、そして、王女だったなどという説まで出てくる。本当のジャンヌが、なぜ、戦争に立ち向かったのかはわからない。でも、ジャンヌが今も歴史の中で生きていることはわかった。